2018-07-10

ローカルだからこその「災害の歩き方」(長文です;)

2000年の東海豪雨以来の大雨。
大量の雨がまとまって降ったあの時と違ったことは
長い間、大量の雨が降り続いたこと。

誰もが東海豪雨のことを思いだし
不安な気持ちで茶色く濁った河川を見たことだろう。

雨が振りだしたのは1週間ほど前
これは長雨になりそうだとテレビを見ながら話していた。
それがここまでの雨量になるとは正直思っていなかった。
事実、僕は週末に名古屋へ行く予定にしていた。

いよいよ水の害が出始めた頃、
Facebookのタイムラインに都竹市長の投稿があがっていた。
その投稿を見た直後、町内放送で同じ情報が流れる。
荒城川が氾濫すれば、飛騨古川駅付近にある僕の事務所にも水がくる。
そんな懸念から、町内放送が流れるたびに耳を澄ませていたけれど、
町内放送と併せて、都竹市長のFacebookを見るのが、
正確な情報を一番早く得る方法だと思った。

止まない雨と眠らない市長

都竹市長の投稿はかなりの頻度で更新されていて
妻や子どもが寝た後も、僕はその投稿を見ていた。
食料の調達にはいつ行くべきかとか、
事務所の機器の移動とか、
どの段階で避難を考えるとか。

雨は断続的に降り続き、時には激しく屋根を打ち付ける。
我が家は雨漏り地獄だ。
雨漏りをトマト缶やタオルで受けながら
携帯をチェックする。
都竹市長は深夜も投稿を続けていた。

都竹市長のFacebook以外にも、
通行止めの復旧作業をしている友人のFacebookには、作業現場に近づかないよう訴える記事があったり、
これから避難します。という人の記事もある。

Facebookのタイムラインに出てくるそういった情報はすごくタイムリーで
各地の今を知るために役立った。

災害が少ないと言われている飛騨地域。
このローカルな場所では、だいたい誰がどこに住んでいるかわかっていて
過去の辛かった教訓もある。
だから、みんながみんなのために情報を発信する。

災害を止めることは出来ない。

けれど、こういったローカルのパワーは
災害での被害を最小限に抑えることができる気がした。

Facebook以外にもInstagramやLINEでも

Facebookに「飛弾地方災害用専用トピ」というページがある。
現在4971人もの人がフォローしている。
そこには、飛弾地方の災害情報や事故情報が書き込まれるので、
僕もちょくちょくチェックする。

妻が見ていたのはLINEだった。
hidamommyという飛弾のママへ向けたサイトのLINE。
ここで妊婦さんや子連れママへの避難時の注意点や避難のときの持ち物などを拡散していた。
この情報があるだけで、子連れや妊婦の方がどれだけ心強いことか。

SNSというものは、多くの人が様々な情報を載せるから
全てを見ていては情報の渦に巻きこまれる。
しかし、情報元が信頼できる場合、その情報はとても価値のあるものになる。
今回、都竹市長が市長の名で情報を絶え間なく発信してくれたことは
僕たち市民にとってはすごく有難いことだった。

広島県のニュースを見て心が痛む。
決して他人事ではない。

もう少し避難が早ければ
あの時、あの場所へ行っていなければ

悔やんでも悔やみきれない思いを想像すると
胸が痛くなる。

災害での被害を最小限に

記憶に新しい「白馬の奇跡」
それは長野県で起きた震度5強の地震。
倒壊する家があったにもかかわらず、死者は0人。
これは住民同士の助け合いが生んだ奇跡と言われた。

奇跡といっても、その礎には、住民同士の濃い人間関係があった。
そして、区長をリーダーとして住民組織の編成や、
高齢者の多い地区ということで災害時に誰が誰を支援するかなども
事前に決めていたという。
驚いたのは、誰がどこに寝ているかもわかっていたというエピソード。
奇跡だったのか。
いや、これは濃厚な人間関係と事前準備の賜物だったのだ。

じゃあ、飛騨は?

僕は高校卒業から18年間名古屋へ出ていて、
そして3年前に飛騨古川へUターンしてきた。
そこで感じたことは、人間関係の濃さ。
皆んな、僕の家の色んなことを知っている。
車が家に止まっていないと、お出かけ?と聞かれる。
親父が風邪をひいてることを、近所の人から聞くことすらある。

少し煩わしさを感じる時もあるこんな人間関係も
災害時に役立つんだと改めて感じた。

区の防災訓練などの参加率も名古屋に住んでいた時と比べて
その参加率の良さに驚く。

ローカルだからこその災害時の立ち回り方が見えてくる。

災害は経験する度に、僕たちは賢くならなければいけない。
まだまだ課題や改善点はあるものの、
今回の災害はSNSでの情報発信を見直すことが出来た気がする。
3.11の東日本大震災がきっかけで作れたLINE。
災害の有無関係無く、今や無くてはならないツールだけれど、
LINEでは災害対策支援を目的に安否を伝える方法などが記載されて
リーフレットをオンラインで配布している。

緊急時に役立つLINEの使い方

是非、この機会に一度見てみてほしい。

今後の課題と懸念

FacebookなどのSNSの利用者の多くが、「何かやってる人」になってきている。
お店だったり、団体だったり、趣味だったり。

若者のFacebook離れは進んでいて、投稿数は減少しているようだ。
現在の利用者のメインは中高年とも言われている。
しかしながら10人に1人は登録しているという事実からすると
ここに有益な情報があれば、それを見る人数はやはり多い。

そこで災害に関する情報を見ることができるということは大きい。

今回の災害の後で、Facebookで振り返りをしている方が何人かいた。
その中に、kongcongデザイナーの森瀬もいた。
とてもわかりやすかったので記事の内容を引用させてもらった。

-今回の大雨で、
個人的に常にチェックしてた
facebookをメモしときます!
(飛騨市の情報を基本としています)
飛騨市防災
都竹 淳也 ←飛騨市長
飛騨地方 防災 専用 トピ
【追記】LINEで飛騨市役所もあるみたい。

すごくリアルタイムで情報が流れてくるので、
テレビより正確で助かりました。
また、文面も配慮してあって、
分かりやすく、理由もわかり、
不快感もありませんでした。
ありがたかったです!
(広報ひだは、何か言ってるのは分かるのだけど、雨音でかき消されて聞き取れなかったです。でも、非常事態だということは認識できました。同報無線は大体家の一階だし二階に上がると聞こえませんでした。。。。)

最近感じたのは、地元でfacebookやってるのは、商売をしていらっしゃる人とかだってこと。意外と主婦とかはfacebookから離れている。
情報を収集したいとき、facebookやツイッターをやってないと情報が入らないというのは、中々辛いと思いました。

避難所からすぐ近くのコンビニにはお世話になったのですが、そのスタッフさん(おじちゃん、おばちゃん)が、全然情報が分からず、不安そうでした。

多分、来年から高山に引っ越すと思います。
高山の情報の入り方も知っておく必要があると思いました。

そして、土砂災害マップとなるもの。
実は初めて見ました。
私の実家は少し小高いから大丈夫だと思ってたけど、真っ赤でした。
https://www.city.hida.gifu.jp/soshiki/2/248.html
みなさんも、チェックしてみて下さい。-

飛騨市役所のLINEがあるということ、僕も初めて知った事実。
こういった情報が市民に拡散しきれていない現実もあるんだな。

そして、LINEやFacebookをみることができない高齢の方がいるということ。
町内放送も聞き取れなかったとしたら、すごく不安だったと思う。
こういった方への配慮。
(今考えつくとしたら、どれだけでも早く避難し、そこで情報を共有するとか…?)
これも今後の課題だろう。

飛騨地域も高齢化は加速している。
長野県の良い教訓を生かし、何らかの対策を取れたらいいなと感じた。

災害の歩き方

僕や森瀬は、飛騨地域で広告の制作などの仕事をしている。
街の情報は入って来やすい環境にあると思っている。
それでも、知らない市の取り組みや知らない情報サイトなどがある。
多くの情報や取り組みが「てんでばらばら」に存在している気がする。
せっかくいいモノがあっても、ある一部の人にしか知られていないなんて残念すぎる。
特に今回のように災害に関わるものならば、それは市民が知らなくてはならない情報だ。

あーどうにかならんかな。

とにかく、まずは家族での意識合わせ、そして備え。
ハザードマップや避難所の確認。
住んでいる家は大事だけれど、もっと大事な命を守るために
出来ることから始めようと思った。

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